部落解放研究第45回全国集会 in 岐阜

11月9日から11日に行われる部落解放研究第45回全国集会で本サイトのことが採り上げられるようです。第5分科会の報告者・パネラーの下吉真二さんという方が鳥取県は倉吉市の職員です。役所や同企連で集会に参加される方は、ぜひ第5分科会に参加してみてください。

第5分科会
「インターネット上の差別事件を考える」
①差別書込みや差別情報の氾濫など、現在のインターネット上の差別事件、人権侵害の状況をどのように捉えるのかをテーマに、高度情報化社会における差別(事件)の実態把握と対応策について考える。

午前の部
報告 大熊 照夫(映画監督)
報告 松村 元樹(反差別人権研究所みえ)
報告 下吉 真二(部落解放同盟)

午後の部
午前中の報告、会場からの質疑をもとにしたシンポジウム
〈パネラー〉大熊 照夫(映画監督)
松村 元樹(反差別人権研究所みえ)
下吉 真二(部落解放同盟)
(司 会)北口 末廣(部落解放同盟)

草津市の同和枠

月刊同和と在日9月号で特集している、滋賀県草津市の隣保館職員の同和枠についての行政文書をアップロードしました。以下をご覧ください。

草津市H23同和枠.pdf

本年度に同和枠の職員を採用するにあたっての詳細な手続き、同和事業促進協議会との取り決め、職員の待遇について書かれています。

市役所の同和枠とはどのようなものなのか、これほどまで詳細に説明された文書は珍しいと思います。黒塗りにされている箇所には、個人名以外は「同促会長」「地区同促会長」「支部長」という言葉が入ります。

六曜は差別

滋賀県では「六曜は差別」ということになっておりまして、草津市の人権センターにもこのようなパネルが掲げられております。

今から6年前のことですが、大津市の職員手帳に六曜が書かれていることに部落解放同盟滋賀県連が抗議しまして、手帳が回収されるということがありました。

六曜記載、人権配慮欠く 大津市が手帳全面回収

なぜ、六曜が差別や人権侵害につながるのか説明してあるのがこのパネルですが、これを読んでもよく分かりません。そもそもカレンダーには六曜だけではなくて、七曜が盛大に書かれているわけで、「日曜日が安息日」というのも何の科学的根拠もないのですが、単に突っ込みやすいから突っ込んだだけのように思います。

本当のところを説明しますと、同和対策が行われた時代というのは、とにかく「これが差別だ」といちゃんもんをつければ金がもらえたので、「被差別者」の方々はそれこそ目を皿のようにして「差別」というものを探していました。六曜というのも、90年代にその中で槍玉に挙げられたテーマです。そういう経緯がありまして、もし市役所の手帳に六曜が書かれたのがそのまま放っておかれると、過去に「六曜は差別だと」主張した人々の人権…ではなくてプライドが侵害されてしまうのです。そこで「二度とメンツを潰すようなマネをするなよ」ということでこのようなパネルが掲げられているというわけです。

解説・同和地区マップが消えない理由

グーグルマップを利用した同和地区マップに対して、私が知る限り公的機関だけでも、大阪法務局、大津地方法務局、鳥取地方法務局、鳥取県人権局、滋賀県人権施策推進課から削除要請がされておりますが、どうしても消えないようです。鳥取県では2年も前から対策会議が開かれており、さすがに税金と労力の無駄ではないかと感じています。そこで、なぜ消えないのかということを、技術的な面と法的な面から解説していきます。

技術的な問題

グーグルマップの地図データ、航空写真などは常にグーグルのサーバー上にあります。同和地区マップもそうで、さらに今のところは同和地区施設の場所を示すデータ(目印データ)もグーグルのサーバー上にあります。「今のところ」というのは、目印データはグーグルのサーバー上に置く必要はなく、別の場所に置くことができるからです。

実際に、別のサーバー(Dropbox)に置いてみました。こちらをご覧ください。

地図データとマップ上の目印は一体のものではなく、それぞれ別々のデータとなっており、ブラウザ上で動作するプログラムにより重ね合わせられるというのがグーグルマップの仕組みです。それぞれデータは別のサーバーにあっても構わないわけで、前述の例では地図はグーグル、目印はDropboxのサーバーにあります。ということは、グーグルに削除要請をしてもグーグルはどうにもできないわけで、Dropboxに削除要請をしなければいけません。

さらに、地図とマップ上のデータを合成するプログラム(HTML, JavaScript)を別のサーバーに配置することができます。こうなると、ぱっと見たところではどこに削除要請をすればいいのか分かりませんね。しかも、どれか1つのデータが消されても、別のサーバーに移せばよく、そのようなサービスは世界中にいくらでもあるのでいくらでも復活できます。

グーグルが鳥取県人権局に対して「マイマップに関するクレーム、ご意見等にいては、マイマップを作成したユーザーに直接ご連絡いただくようにお願い致します」と答えているのは、そういう意味ではないかと思われます。「ユーザーを逮捕してインターネットから遮断しない限り、こちらが消しても無駄ですよ」ということなのです。

法的な問題

日本の法律では言論の自由というのは非常に強力な権利です。憲法21条で「言論、出版その他一切の表現の自由」が保障されており、さらに「検閲は、これをしてはならない」とされているためです。一方で、削除要請の根拠となっているプライバシーや個人情報の保護は憲法では直接規定されていません。従って、2つの権利が衝突する場合は、前者のほうが優先されやすいと言えると思います。さらに、憲法82条は裁判の対審及び判決は原則として公開法廷で行うことを規定しており、特に憲法21条を含む国民の権利が関わるものは一切例外を認めないという強力な規定になっているので、行政が争訟になるような強制力のある措置というのもいろいろな意味でやりにくいわけです。

同和問題では憲法14条(法の下の平等)が錦の御旗にされる一方で、なぜか前述のような規定は邪魔なものとされているようで、そこで行政は回避策を考えました。大阪法務局、鳥取地方法務局、鳥取県人権局が私に直接削除要請をせずに、グーグルなどのプロバイダに削除要請をするのは、もし実際に同和地区マップが削除された場合「消したのはプロバイダだ、こちらは直接手を下していないので検閲ではない」と責任回避をする意味があるものと思われます。

削除要請が「行政処分」ということになって、それが検閲かどうかが問題にされるようなことがあると、都合の悪いことについて説明を求められることになってしまいます。例えば、同和地区マップの載せている情報は、もともとは自治体がインターネットで公表しているものだったり、部落解放運動団体や同和対策事業団体の出版物に掲載されているものだったりすることです。

すると、「部落地名総鑑事件」以降の教育、啓発、解放運動といったものが、根底部分からおかしかった、そのために無駄な税金と労力を費やしてきたということが明らかになってしまいます。様々な人、団体のメンツが丸つぶれですよね。それをライフワークとして人生の大半をかけてきた人もいるようですが、これでは馬鹿みたいです。そこで、いろいろな人が必死になって、なるべく自分の手を汚さない方法で同和地区マップを消させようとしているのですが、そもそもその行為自体が矛盾と欠陥だらけの教育、啓発、解放運動の中で行われているものなので、どうしても消えないというわけです。

鳥取市の同和減免関係の書類の開示について審議中

鳥取市の同和減免について情報公開請求と個人情報開示請求で拒否処分された件で異議申し立てをしたのですが、鳥取市情報公開・個人情報保護審査会で審議が行われています。

情報公開請求関係の理由説明書と意見書は次の通りです。

不開示等理由説明書-H23-1-14-1.pdf
意見書-H23-2-4.pdf

個人情報開示請求関係の理由説明書と意見書はこれです。

不開示等理由説明書-H23-1-14-2.pdf
意見書-H23-2-3.pdf

ポイントは、情報公開請求と個人情報開示請求で判断に違いが出るかどうかです。情報公開請求は情報の公開を求めるものですが、個人情報開示請求は当事者への個別の開示を求めるものです。そのため、両者は似ているようで、全く意味は違います。

しかし、今回の場合は個人情報開示請求の当事者が「地域住民」ということがミソです。情報公開についての意見書に書いたとおり、下味野の住民は1600人以上いるので、それだけの人数に対する「開示」は、もはや「公開」と変わりがないとも言えます。

鳥取市情報公開・個人情報保護審査会の会長は寺垣琢生氏ですが、実は例の鳥取県部落解放企業連合会にからむ情報公開裁判の県側担当もこの方でした。鳥取県では有名な名物弁護士なのですが、果たしてどうなるでしょう。

「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」改正案のパブコメ募集中

「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例の一部改正(案)【概要】」に対する府民意見等の募集についてと題したパブリックコメントの募集が始まっています。

改正案では禁止される行為は次の2点です。

  • 調査する土地に、同和地区があるかないかについて調査し、又は報告しないこと。
  • 同和地区の所在地の一覧表等の提供及び特定の場所又は地域が同和地区にあることの教示をしないこと。

しかし、大阪府下の自治体では同和地区には大抵解放会館があり、現在も人権文化センターのように名前を変えて存続していることから、同和地区の場所の調査は非常に容易です。また、以前にも指摘した通り、同和地区の所在地の一覧表は少なくとも大阪市に関しては行政が制作に関わった冊子が刊行されています。

解放同盟に言われたので、とりあえずそれらしい物を作ってお茶を濁したというような、府職員のやる気の無さが見えてくるようです。

実際の事案では、調査会社が「○○1丁目問題地域」や「○○は、地域的に問題を抱えるエリア」「○○地域は、地元で有名な問題あるエリアとして敬遠されている」と同和地区遠まわしに表現していたようですが、同和地区でなくても実際にそのような地域は大阪にいくつかある(例えば釜ヶ崎など)ので、何をもって同和地区の場所を調べたと言えるのか、非常に分かりづらいところです。とにかく、ザル条例にさらにザル条項が加わることに間違いはないようです。

また、調査を規制すること自体が暗に「調査すれば同和地区の場所が分かる」と言っているようなものですし、「同和地区は忌避される地域」と言っていることでもあります。そういった暗黙の主張をすることで得をする人というのが大阪にはいるようです。

滋賀同和問題企業連絡会理事会社一覧

「企業内同和問題研修啓発推進事業関係通知・通達等」という資料に掲載されていた、今年の同企連の理事会社の一覧です。就職活動の参考等にご利用ください。

株式会社平和堂
関西電力株式会社滋賀支店
株式会社関西アーバン銀行びわこ本部
東レ株式会社滋賀事業場
ルネサス関西セミコンダクタ株式会社
日本生命保険相互会社滋賀支社
オムロン株式会社草津事業所
ヤンマー株式会社小形エンジン事業部
日本電気硝子株式会社
近江鉄道株式会社
株式会社滋賀銀行
ダイハツ工業株式会社滋賀竜王工場

実は同じ資料に「職業安定行政に係る地域改善対策特例事業の一般対策への円滑な移行について 」(平成9年3月31日付け職発第230号、労働省職業安定局長通達、最終改正職発第0401003号)という通達文書が掲載されています。それによると、同和対策終了後、ハローワーク等で「同和関係者」という扱いが廃止されたわけではなくて、実は障害者などと同列の扱いにするということで「一般化」がなされたようです。次々号くらいになるかも知れませんが、徹底調査の上、月刊「同和と在日」で詳しくレポートする予定です。

「部落地名総鑑.zip」の三重県内の住所のうち、1件以外は全て被差別部落

大津地方法務局から削除要請をされるなど、物議を醸している部落地名総鑑.zipですが、偶然、新たな情報を見つけました。
以下の、反差別・人権研究所みえの松村元樹さんの講演録をご覧下さい。
http://blhrri.org/info/koza/koza_0186.htm

この430件の地名は、解放同盟中央本部の方によると被差別部落でない地名が3分の1含まれているということで、三重県の地名の書き込みにも被差別部落でない地名が一件ありました。

地名の件数は、ほぼ一致していますので、私がブログに掲載したものと同一のものを指しているとみて間違いないでしょう。
やはり、あれが「でたらめ」なものであることは認識していたようです。そして、この記述から分かるように、解放同盟中央本部は全国の同和地区を識別するための「マスターデータ」を持っていますし、松村元樹さんも三重県内の同和地区を知っていて、部落地名総鑑が本物であるかどうか検証しています。部落解放同盟中央本部は、同和地区の地名どころか、その地区の同盟員まで一人一人把握しているので、当然と言えば当然と言えると思います。そのマスターデータを「部落地名総鑑」であるとは認めないでしょうが、一部の人達は、部落地名総鑑を非難しつつ、同じようなものを持っているということです(皮肉な言い方をすれば、現に核爆弾を持っている国が、核開発をしている国を非難するのに似てますね)。滋賀県連などは、結果的にそれをネットにばらまいてしまったわけです。
幸いと言うべきかどうかは分かりませんが、鳥取の場合は全て間違っていましたが、松村元樹さんによれば、三重県内に関しては8つの地名のうち、1つを除いて全て被差別部落だそうです。
参考までに、該当部分を掲載します。

三重県桑名市 大字上深谷部
三重県津市 愛宕町、愛宕町清原、相生町
三重県伊勢市 朝熊町
三重県名賀郡 青山町阿保(現・三重県伊賀市阿保)
三重県四日市市 寺方町、赤堀

ちなみに三重県と言えば、四日市市の情報公開審査会が、同和地区に設置された改良住宅の位置を開示すべきという判断を下したことがありました。

子どもを支える人権のまちづくり促進事業の一部は事実上の同和対策

既に滋賀県のサイトで公開されているものですが、滋賀県情報公開審査会答申第46号を掲載します。
滋賀県情報公開審査会答申第46号.pdf
これによれば、草津市、野洲市、甲賀市、木之本町(現長浜市)に関しては、対象地域が同和地区であるということで、施設名地名等は非公開で、他の地域は原則公開です。文字通り一般対策として事業を行った自治体は公開されて、隠れ同和対策をやった自治体は非公開という皮肉な結果になっています。
前回の答申第45号と同じく、「同和地区は非公開」という結論が最初から決まっていて、それに沿って形式的な判断をしただけで、関係者の権利利益が考慮されたとは言えないでしょう。なぜそうなのかは、いずれ解説します。
ひとまずは、審査会の答申を受けて、教育委員会がどう動くかを見守ることとします。

滋賀県情報公開審査会により同和地区地域総合センター要覧等の非公開は妥当という判断が出ました

同和対策地域総合センター要覧等の文書が非公開になったことについて異議申立てした件ですが、答申では非公開の判断は妥当とされました。答申の内容は以下から見ることが出来ます。
滋賀県情報公開審査会答申第45号
条例により非公開とする以上は、事実上公然となっている地域が差別対象であると認定しなければならず、差別の方法を示すことになると再三警告したつもりですが、受け入れられなかったようです。
この答申により認定されたことは、例えば次の事柄です。

同和対策事業特別措置法の制定趣旨などから、従来同和問題が存在することは明らかであり、現在でも差別事件が発生していることや、差別意識の解消が十分に進んでいない状況であることは、実施機関の示す県民意識調査などから認めることができる。
このような状況において、「地区名」が公にされると、その地区の住民や出身者が差別を受け、当該個人の権利利益を害するおそれがあると認められる。

同和対策地域総合センターは同和問題解決のための各種対策を総合的に推進する地域の拠点としての沿革をもつことから、当該施設の所在地が同和地区であると推定され、その地区の住民や出身者が差別を受け、当該個人の権利利益を害するおそれがあると認められる。

「利用対象地域名等」が公にされると、その情報から同和地区が特定ないし推定され、その地区の住民や出身者が差別を受け、当該個人の権利利益を害するおそれがあると認められる。
また、このような請求に対し、「利用対象地域名等」が公にされると、同和地区よりも広い利用対象地域名であっても、それを同和地区名と関連づけられるおそれがあり、ひいては利用対象地域の住民の権利利益を害するおそれがあることも否定できない。

情報公開条例により個人情報として非公開にされるということは、漠然と差別があるということではなくて、具体的に関係者が不利益を受けるということ判断されたということになります。つまり、滋賀県情報公開審査会によれば、同和地区に住んでいたり、過去に住んだ経歴があると、差別対象となり、不利益を受ける可能性があるということです。例えば、同和地区の土地に対して低い判断をする場合に、今回の答申書は非常に説得力のある根拠になるかも知れません。
滋賀県内の全ての同和地区の詳細について、ほぼ調査を終えたので、本当に滋賀県情報公開審査会が認定したような事態が起こるのかどうか試すためにも、近日掲載する予定です。

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