同和地区精密調査報告書

昭和52年、「同和地区精密調査報告書」という本が国会で問題になりました。その議事録をこちらから読むことができます。その議事録から少し抜き出してみます。

○矢山委員 私は、これから給与法の審議に関連をいたしまして、日本国民の生存、生活にかかわる重要な課題でありますので、十分納得のいくまで所見を承りたい問題がございます。それは部落解放対策の問題でございますので、ひとつ当局におかれましては、そのつもりで御答弁をいただきたいと思うわけです。
 まず第一にお伺いしたいと思いますのは、政府がこれまで極秘扱いにしてきたと言われております「同和地区精密調査報告書」が、最近相次いで都内の古本屋に出回って、高値で販売をされております。東京都の同和対策部や部落解放同盟大阪府連によって現在五冊が回収されたと言われておるのでありますが、この経緯について総理府の長官からの詳細な説明を聞きたいと存じます。
○藤田国務大臣 経緯の説明につきましては、同和対策室長からやらせますので、御了承いただきます。
○黒川政府委員 「同和地区精密調査報告書」についてでございますが、この報告書は同和対策事業特別措置法施行後の同和対策事業の実施状況を明らかにするとともに、この事業の今後におきますあり方等に関する基礎資料を得ることを目的といたしまして、昭和四十九年度に、同和問題についての深い見識を持っていらっしゃる学識経験者に調査を依頼いたしまして、その結果をまとめた報告書でございます。
 これは、同和対策協議会の委員、それから関係省庁等の関係者に配付したものでございますが、御指摘のように、この報告書が古書籍商において販売されていることが判明したわけでございますけれども、総理府といたしましては、現在どんな経路でこの報告書が販売されるようになったかということにつきまして鋭意調査しているところでございます。今後その調査結果をもとにいたしまして、どのような措置をとるか慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。

当時は「部落地名総鑑事件」の最中で、政府が発行したこの種の本が部落地名総鑑のもとになっていたとして問題とされました。例えばこんな風に。

○矢山委員 そこでもう一つ聞いておきたいのですが、私は、この「地名総鑑」なるものの内容をちょっと見たのですが、この内容を見ると、これはちょっとやそっとで調べられるような内容じゃないのですよ。これだけの資料のもとというのは、これを握っておるのは政府しかないと私は思う。先ほどの「地名総鑑」等の中に、一つの問題については、大阪府の調査機関の方が調査をした資料が漏れたのかもしれないというような意味の御発言がありましたが、私は、やはり公的機関、特に国が調査したその資料が漏れておるのではないかという疑いを強く持つのです。なぜそういう疑いをよけい強められるかと言うと、今度のような同和対策地区の「精密調査報告書」が、発行部数も限定され、配付先も限定されて、しかも極秘扱いにして国会議員の資料要求にも応じない、地方自治体の部落解放対策担当者の要求にも応じておらない、それほど極秘扱いに厳重に扱っておるものが漏れるぐらいでありますから、したがって、「地名総鑑」のもとというものも政府の方から漏れておるのではないか、私はこういうふうに思うのですが、その点で、ここまで事態が発展している以上、政府としてはそういう点はなかったのかどうか、真剣に調査をされましたか。

で、その「同和地区精密調査報告書」がこれです。3センチくらいの厚さの本で、特に「マル秘」のようなことは書かれていません。

全国を網羅したのではなく、サンプル調査だったことが分かります。調査員には当時の部落解放同盟書記長、上杉佐一郎氏の名前が。

しかし、調査は詳細で、当時の同和地区の様子が赤裸々に書かれています。

○○は差別だ!と糾弾したら、それがそのまま行政や運動団体に跳ね返ってくる。それは当時も今も変わらないことだったようです。

コメント

コメントを受け付けておりません。