同和地区がどこにあるか知るには

直球なタイトルですが、内容もそのままです。このテーマを採り上げるのは、同和地区の場所を知りたくて鳥取ループにアクセスする人が多いようなので、あれこれいい加減な想像をされるより、ストレートに疑問に答えようという主旨です。
鳥取県の場合、同和地区とは1969年に公布された同和対策事業特別措置法の対象とされた地域です。既に法律が失効しているので法的には無効なのですが、同和地区に対する税金の減免や住民に対する給付金制度を継続している地域があるため、同和地区は事実上存在し続けています。
同和地区の場所ほど「公然の秘密」という言葉ぴったりくるものはありません。役所に電話で「○○というところは同和地区ですか?」という直球な質問をしても、もちろん答えてはもらえません。また、「同和減免の対象地域の一覧」といった文書を公文書開示請求しても「同和地区住民が明らかになり、個人の利益を侵害する」という理由で開示してもらえません(行政訴訟すれば開示されるかも知れませんが、そこまでやった例はないようです)。しかし、同和地区のある場所の地名については、秘密でも何でもないのが実情です。知ろうとすれば簡単に分かるし、全く興味のない人は実際にその場所に住んでいても知らない…といった性質のものです。
ここで注意しなければならないのは、「○○は同和地区」と言うだけでは同和地区の場所を正確に表すものではない点です。都市計画図のようなものをイメージすれば想像がつくと思いますが、同和地区は地図上にエリア指定された区域です。従って「○○は同和地区だ」と言っても○○100番地は同和地区でも○○200番地は同和地区でないこともあります。また、「同和地区住民」と「同和関係者(被差別部落民)」は一致しません。基準は曖昧(というより、おそらく根拠は皆無)なのですが、単純に同和地区に住んだだけでは「差別を受けている人々」として施策の対象にはならないようです。
同和地区が事実上公然のものになっている例は多数あるのですが、そのいくつかを紹介します。

米子市内の同和地区

米子市の場合は事実上市のウェブサイトで公開されてしまっています。
人権政策課の事務事業評価表の中に、「地区会館運営事業」というのがあります。事業の対象として「地区会館(3館)を設置している同和地区(3地区)及びその周辺地域住民」と書かれています。地区会館が設置されている3地区がどこにあるのかは、米子市地区会館条例に明記されています。条例によれば、地区会館の目的について「同和地区及びその周辺地域の住民の福祉の向上を図る」とあります。早い話が、3つの地区会館はそれぞれ1つの同和地区に対応している、ということです。
隣保館についてそこまで詳細な記述がされていないのは、隣保館は必ずしも地区ごとに置かれたものではないからです。よく「隣保館がある所は同和地区」と言われたりしますが、間違いです。その辺りの事情は県内の他の自治体でもあまり変わらないと思います。ただし、ぶっちゃけてしまうと条例や規則に「同和地区住民を対象」といったことが書かれている「地区会館」や「集会所」はほとんど同和地区にあります。

解放新聞や解放研究とっとりを読む

私も愛読していますが、両者には部落解放あるいは学術研究という名目で、同和地区の地名が書かれています。いわゆる「未指定地区」とされる行政的な同和地区でない地域も写真入で掲載されていたりします。
ちなみに解放研究とっとりの最初のページには、そのまま掲載されている「「村名」・「人名」・「写真」等の慎重なる扱いを改めてお願いするものである。」とありますが、この本自体図書館や駅南のふらっとで誰でも読むことができるので、慎重に扱われている様子はありません。見出しは、インターネット上でも使える図書館の雑誌見出し検索に引っかかります。

現地に行く

役所や外郭団体がそのものずばり、「同和地区現地研修」というイベントを企画することがあります。自治体の住民でなくても参加できる場合もあるので、遠慮なく主催者に聞いてみましょう。
ただ、行っても普通に綺麗な家が立ち並んでいるだけです。興味本位で行くなら、隣保館を見学させてもらった方が、よほど面白い物が見られるでしょう。

コメント

コメントを受け付けておりません。