鳥取三洋電機に存在した同和枠

県内でその存在がまことしやかに囁かれる民間企業への同和枠なのですが、なかなか噂の出所についてははっきりしません。しかし、同和枠の存在について、その噂の出所を具体的にご存知の方がいらっしゃいました。
証言によれば、同和枠の存在ははっきりと明文化されているわけではないが、関係者の間でそのことがあまりにも知られすぎているために、企業や役所向けの同和研修などで解放同盟の講師が話すことがある、ということでした。具体的には、講師が鳥取三洋電機の同和枠に触れ「子弟の採用まで要求してしまうのはやり過ぎじゃないか?という声が内部から一部出たこともあったがこれを勝ち取った。」という内容を講師が話していたということです。
私は、この企業に取材を試みました。

私: 同和地区住民のための採用枠であるとか、解放同盟の推薦によって職員を採用するということは実態としてあるのでしょうか?
企業担当者: 基本的にはありません。成績能力を優先にかんがえておりますので、そういったことはございません。
私: 以前そのようなことがあったと市内の方から聞いたのですが。
企業担当者: 以前は…若干あったように私も聞いております。例えば10人採用するとして20人応募があったとして、その10番目に同じ成績の方がおられた場合、優先的に(同和地区の方を)雇用したということは過去にあったように聞いております。
私: いつごろのことでしょうか?
企業担当者: 部落地名総鑑事件の直後といいますか…10年近く前のことになりますね。
私: 現在は、そういったことは、はっきりと止めていらっしゃる?
企業担当者: もう今は分かりませんし、そういうお話もありません。以前は運動団体(部落解放同盟)の方からそういったお話があったようですけども、今は公正採用ということで身元調べとか一切できませんからね。(誰が同和地区出身か)分かりませんから、できないんですね。

ところで、部落地名総鑑事件は1970年代半ばで、この企業が地名総鑑を購入したことが発覚したのもその頃です。ということは、30年ほど前ということになり、10年近く前という話はつじつまが合いません。今から10年前の1996年と言えば、鳥取県人権尊重の社会づくり条例が制定された年です。その少し前の1994~1995年頃に、採用選考で差別があったなどとして中国電力をはじめとする県内企業が相次いで部落解放同盟から糾弾されています。おそらく、この頃のことを指しているものと思われます。
少なくとも、そう遠くない過去、県内の民間企業に「同和枠」が存在したことは間違いありません。とは言え、社員の能力が利益に直結する民間企業においては、さすがに実質無試験でフリーパスというものではなかったようです。
(次回に続く…)


同和枠が存在していた頃、同和地区出身であるがゆえに採用された人と、同和地区出身でなかったゆえに不採用になった人が実際にいたわけですね。おそらく本人は知る由もないでしょうが。

コメント

コメントを受け付けておりません。