[読み物]学校における差別事象に係る鳥取県教育委員会の見解について(4/5)

前回からのつづきです。
4差別を見抜き、指摘できる力の育成
今回学校で多発している差別事象のほとんどは、同和地区生徒による指摘や告発よるものであったり、教職員が生徒の発言や落書きを見逃さず、即座に発言の真意を問い質したり、生徒の訴えを聞いたりして取り上げたものである。このことは、今日までの同和教育の実践を通して、差別を許さない教職員の態度や、生徒の中に差別に気づきその誤りを指摘するカが育ってきた成果でもある。
また、差別事象に係る指導を通じて、差別発言を受けた時に感じたショックの意味を問い直すことで、自らの差別意識に気づいた生徒が、「もっと勉強していきたい。」と学習し続けることへの意思を教職員に表明したこと。差別発言した生徒が、自分の発言で友だちの心を傷っけたことを深く心に刻み、友だちの変わらぬ支えに励まされながら、前向きな姿勢に変わったこと。事象をきっかけにして、自らの社会的立番の自覚を深め、学校生活での言動を見つめ直していったこと。同じ学年の仲間が発言をしたことを自分たちの問題と深く受け止めた生徒たちが、卒業式の答辞の中で、「自分たちは、2年生の時に友だちが起こした差別事象の体験をバネにし、同和問題が自分たちの問題であることを学び、その後差別を見抜き、許さない力が増したように思う。人間として、それぞれが一回り大きくなれたような気がする…。」と述べたことなど、生徒たちの意識や差別解消への意欲の高まりもみられた。
さらに、差別事象を取り上げて学校全体で取り組むことについて、「幼なじみで、これまで築いてきた友だち関係が壊れると思った。家も近くなので気まずくなると思った。」として強く拒み続けていた同和地区生徒が、継続的な教師や仲間の支えの中で、事象ついて打ち明けることができた。その思いを「打ち明けて良かった、僕も強くならんといけん。」と誇っている。また彼はこの友だちとの交換ノートを通じて、自分の同和教育に対する思いや、いかに差別発言が同和地区の人々を傷つける行為であるかを伝え、ともに支え合い立ち上がっていった。他の同和地区の生徒は、「東部地区解放研交流会で聞いた被差別体験の話や、自校でおきた差別事象について解放研で話し合っていたので、注意することができた。ここで注意しなかったら、ずっと後悔すると思った。同じ注意をするなら、後々なってあいまいになってしまってからするのではなく、早いうちにしたほうがいい。」と語っているように、確実に差別解消に向けた実践力が育ってきた。この二人の生徒は、卒業する時に同和教育主任に「3年間、先生に支えてもらった。」と語り、未だ差別ある社会に向けて差別に負けず差別をなくすという強い意志を持って巣立っていった。
このように事象が起こった学校においては、差別事象をみんなの問題と捉え、教職員、生徒が、それぞれの立場で今の自分を見つめ直すきっかけになっていった。今回、差別事象に係る取組の中での教職員、生徒及びび保護者の変容や立ち上がりを、同和教育の実践の確かな成果として捉え、このような確かな成果が、日常的な教育活動の中で広がっていくよう、さらなる同和教育実践を積み重ねていきたい。

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